事業計画書サンプル③:飲食店

事業計画書サンプル③:飲食店
目次

飲食店の事業計画書

1. 会社概要

項目内容
商号株式会社Hidamari Deli(ひだまりデリ)
設立年月日2025年〇月〇日(予定)
事業所の所在地東京都豊島区南池袋〇-〇-〇 (店舗物件の賃貸借契約交渉中)
役員構成代表取締役 △△
資本金1,200万円
事業年度毎年4月1日から翌年3月31日まで
事業内容日本の有機野菜を使用したヘルシー韓国デリ&カフェの運営

2. 申請者(経営者)の経歴

氏名: △△

資格: 2015年 韓国調理師免許 取得

職歴: 2015年4月~2020年3月 レストラン「ソウルの食卓」(韓国・ソウル市、ミシュラン1つ星)にて調理師として勤務。伝統的な韓国料理の調理技術と現代的な盛り付けを習得。 2020年5月~2025年3月 株式会社オーガニック・ダイニング(東京都、オーガニックレストランを都内5店舗展開)にてシェフとして勤務。 <職務内容>

  • 南青山店の厨房責任者として、メニュー開発、調理、スタッフの指導を担当。
  • 日本各地の有機野菜生産者とのネットワークを構築し、旬の食材を活かしたメニューを提供。担当店舗の売上を2年間で130%向上させる。
  • 食材の原価管理と発注業務も担当し、フードコストを30%から25%に改善した実績を持つ。

【本事業との関連性】 韓国と日本の両国で合計10年間、プロの料理人として技術と経験を磨いてまいりました。特に、日本のオーガニックレストランでシェフとして勤務した5年間で、日本の素晴らしい食材の知識と、健康志向の日本人顧客の嗜好を深く理解しました。伝統的な韓国料理の技術と、日本の旬の有機野菜を融合させるという本事業のコンセプトは、私のこれまでのキャリアの集大成です。調理技術だけでなく、店舗の売上向上やコスト管理といった経営に関わる実務経験も、本事業を成功させる上で大きな強みとなります。


3. 事業の目的・コンセプト

コンセプト:『毎日食べたい、からだ想いのヘルシー韓国デリ』 従来の「辛い」「脂っこい」というイメージの韓国料理ではなく、日本の旬の有機野菜をふんだんに使い、化学調味料を極力使用しない、健康的で彩り豊かな新しい韓国料理を提供します。忙しい毎日を送る方々が、美味しく食べて心も体も元気になる「陽だまり」のような空間を目指します。


4. 事業内容

(1) 店舗概要

  • 席数: 20席(カウンター4席、テーブル16席)
  • 内装: 白と木目を基調とした、明るく清潔感のあるカフェのような空間。女性一人でも気軽に入れる雰囲気を重視します。

(2) メニュー構成と価格設定

  • ランチ(11:30-15:00):
    • 選べるデリプレート(主菜1品+副菜3品+雑穀米+スープ):1,200円
    • 週替わりヘルシービビンバ:1,100円
    • 想定客単価:1,200円
  • ディナー(17:30-22:00):
    • アラカルトのデリ(1品500円~)、野菜のチヂミ、ポッサムなど
    • オーガニックワイン、マッコリなどのアルコール類
    • 想定客単価:3,500円

(3) ターゲット顧客

  • 店舗周辺のオフィスで働く20代~40代の女性
  • 健康や美容に関心が高い地域の住民
  • 新しいスタイルの韓国料理に興味がある方

(4) 立地選定理由 出店予定地の豊島区南池袋は、大規模なオフィスビルが複数あり、平日ランチタイムの需要が非常に高いエリアです。また、近隣には複数の商業施設やマンションがあり、休日やディナータイムの集客も見込めます。競合の韓国料理店はありますが、多くは伝統的な居酒屋スタイルであり、健康志向の女性をターゲットにした当店は明確に差別化が可能です。


5. 販売戦略(集客方法)

  • オープン前: 店舗のInstagramアカウントを開設し、内装工事の様子やメニュー開発の裏側を発信。オープンへの期待感を醸成します。
  • オープン後:
    • Web: Instagramでの情報発信、Googleマップへの登録と口コミ対策を徹底。
    • 店頭: 彩り豊かなデリが外から見えるように陳列し、通行人の興味を引く。ランチタイムには看板を設置。
    • リピート促進: ポイントカードの導入や、SNSでの限定情報発信。

6. 人員計画

役職人員勤務形態備考
代表取締役・シェフ△△常勤調理・経営全般
調理補助1名アルバイト週5日・1日8時間
ホールスタッフ2名アルバイトランチ・ディナー各1名体制

7. 資金計画

(1) 必要な資金額(初期投資) 自己資金として用意した1,200万円を、以下の通り事業資金として投じます。

  • 設備資金(店舗投資):900万円
    • 物件取得費(保証金、礼金等):300万円
    • 内装・外装工事費:400万円
    • 厨房設備費(コンロ、冷蔵庫、調理器具等):150万円
    • 家具・食器等:50万円
  • 運転資金:300万円
    • 開業後の当面の運転資金(食材仕入費、人件費、家賃、広告宣伝費等の3ヶ月分相当)

(2) 資金調達方法 全額、代表者の自己資金により調達します。


8. 収支計画

(1) 売上高の算出根拠 平日のランチ・ディナー、および土日の売上を分けて現実的に算出します。 (席数:20席、営業日数:月25日)

  • 平日ランチ: 1,200円 × 20席 × 1.5回転 = 36,000円
  • 平日ディナー: 3,500円 × 20席 × 0.8回転 = 56,000円
  • 土日: ランチ・ディナー通しで平日合計の1.2倍の売上を想定 (92,000円 × 1.2 = 110,400円)

月間売上高: (36,000 + 56,000) × 17日 (平日) + 110,400 × 8日 (土日) = 1,564,000 + 883,200 = 約245万円

(2) 収支計画表(月平均) (単位:千円)

項目金額対売上比率備考
売上高2,450100%上記算出根拠に基づく
売上原価(食材費:F)73530%
売上総利益1,71570%
人件費(L)75030.6%役員報酬(35万)+アルバイト(40万)
家賃(R)25010.2%
水道光熱費803.3%
広告宣伝費502.0%
その他経費853.5%通信費、消耗品費など
販管費 合計1,21549.6%
営業利益50020.4%

(3) 3カ年収支計画の要約 初年度は月商245万円(年商2,940万円)、営業利益600万円を目標とする。2年目以降は、認知度向上とリピーター増加により、前年比110%の売上成長を目指す。



【ポイント解説】この飲食店の事業計画書が評価される理由

この事業計画書は、料理への情熱だけでなく、飲食店をビジネスとして成功させるための**具体的な「数字の裏付け」**が明確なため、審査官に高く評価されます。

ポイント1:事業の「実現可能性」を証明する工夫

「この店は本当にお客様に支持され、繁盛するのか?」という審査官の疑問に対し、以下の点が力強く答えています。

①【最重要】料理人としての「腕」と経営者としての「コスト意識」
  • サンプル該当箇所: 2. 申請者(経営者)の経歴
  • ここが評価される!
    • ミシュラン星付きレストランでの経験は料理の品質を、日本のオーガニックレストランでのシェフ経験は日本人顧客の嗜好への理解を証明しています。
    • それだけでなく、「フードコストを30%から25%に改善した実績」という記述が極めて重要です。これは、申請者が単なる料理人ではなく、利益を生み出すためのコスト管理能力を持つ経営者としての素養があることを示しています。
② 明確なコンセプトと、それを裏付ける立地選定
  • サンプル該当箇所: 3. 事業の目的・コンセプト, 4. (4) 立地選定理由
  • ここが評価される!
    • ただの「韓国料理店」ではなく「日本の有機野菜を使ったヘルシー韓国デリ」というコンセプトが、現代の健康志向のトレンドに合致しています。
    • なぜ「南池袋」なのかを、「オフィスワーカーが多くランチ需要が見込める」「同様のコンセプトの競合が少ない」と論理的に説明できています。感覚ではなく、マーケティングに基づいた判断であることが伝わります。
③ 高額な初期投資をカバーする、潤沢な自己資金
  • サンプル該当箇所: 7. 資金計画
  • ここが評価される!
    • 飲食店は店舗取得費や内装・厨房設備費など、初期投資が高額になります。法定の500万円を大きく上回る「1,200万円」の資本金を用意し、その具体的な使途(店舗投資900万円、運転資金300万円)を明記しています。
    • これにより、計画が絵に描いた餅ではなく、自己資金で確実に事業をスタートできるという強い本気度と安心感を審査官に与えます。

ポイント2:事業の「継続性・安定性」をアピールする工夫

「開店後、この店は継続的に利益を出し、安定した経営ができるのか?」という問いに、飲食店経営のセオリーに基づいた数字で答えています。

①【最重要】飲食店の「売上方程式」による、説得力のある売上計画
  • サンプル該当箇所: 8. (1) 売上高の算出根拠
  • ここが評価される!
    • 飲食店の事業計画で最も重要な部分です。「月商245万円を目指します」と書くだけでなく、「客単価 × 席数 × 回転率 × 営業日数」という、誰でも検証可能な計算式で売上を算出しています。
    • さらに、「平日ランチ」「平日ディナー」「土日」で回転率や客単価を分けて計算しており、非常に現実的で緻密な計画であると評価されます。このロジックがあるかないかで、計画全体の信頼性が全く変わります。
② FLコストを意識した、現実的な経費計画
  • サンプル該当箇所: 8. (2) 収支計画表
  • ここが評価される!
    • 経費の中で最も大きな割合を占める**F(Food Cost:食材費)L(Labor Cost:人件費)**の比率を明確に示しています。このサンプルでは、FL比率が約60.6%(食材費30%+人件費30.6%)となっており、飲食店の健全な経営指標の範囲内です。
    • このFLコストへの言及は、申請者が飲食店経営の基本を熟知していることの証明になります。
③ 具体的な人員計画と役割分担
  • サンプル該当箇所: 6. 人員計画
  • ここが評価される!
    • 誰が何をするのかが明確です。代表者自身がシェフとして厨房に立つことで、店の味と品質を担保する姿勢を示しています。
    • 必要な人員をアルバイトで確保し、人件費をコントロールしようという計画も現実的です。これにより、安定した店舗運営が可能であると判断されます。
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